ダクト工事・メンテナンスのポイントとは!安全で快適な空気をつくりだすための工事について解説

ダクト工事とは

ダクト工事とは、建物内の快適な空気環境を維持するために欠かせない工事です。主に冷暖房や換気、排煙などを行う機能を持つダクトを設置します。ここではダクトとは何か、ダクトの種類、ダクト工事の流れ、メンテナンスのタイミングや必要な兆候について解説します。

ダクトとは

ダクトとは空気やガスを運ぶための空調設備の一部で、主に空調に関する配管のことを指します。ダクトには主に空調ダクト、換気ダクト、排煙ダクトの三つに大別されます。

空調ダクト

空調ダクトは冷暖房や換気システムの一部として、空気を室内に供給する役割があります。この設備により、室内の温度や湿度を適切に維持し、快適な環境を作ることができます。

換気ダクト

換気ダクトは室内の空気を外部に排出し、新鮮な空気を取り入れるための設備です。主にキッチンや浴室、トイレなどに設置され、カビの予防、空気中の細菌やにおい排出など居住空間に清潔で快適な空気を保つために使われています。

排煙ダクト

排煙ダクトは、火災が発生した際に有害な煙を外部に排出するための重要な設備です。この設備は建物内での煙の堆積を防ぎ、避難時の安全性を高めます。

ダクトの形状

ダクトの形状は、主に角ダクトと、丸ダクトの二種類に大別されます

角ダクト

角ダクトは四角い形状で、低速ダクトとして広く使われています。空気抵抗が丸ダクトより多く、形状の自由度が高いのが特徴です。角型の空間にフィットしやすく、デッドスペースを少なくすることができます。商業施設や飲食店で使用されます。

丸ダクト

丸ダクトは、円形または楕円形の断面を持つダクトです。丸ダクトは空気抵抗が角ダクトより少なく、入手が比較的容易で、高速ダクトに適しています。そのため工場の集塵用ダクトや、大規模な施設の空調ダクトに使用されます。円柱状のものはスパイラルダクトと呼ばれ、帯鋼をらせん状にマイティバーつくられ軽量で強度が高いのが特徴です。

ダクトに使われる材料の種類

ダクト工事の際、材の種類は使用環境や必要とされる性能に応じて選択します。ここでは、主要な4種類の素材を説明します。

亜鉛メッキ鉄板

亜鉛メッキ鉄板は、コストパフォーマンスが高く、最も一般的に使用されるダクト材です。主な用途は家庭や商業施設の空調、換気、排煙です。高温や多湿な環境でない限りこの材が使用されます。

ガルバリウム鋼板

ガルバリウム鋼板は屋外や、耐熱が要求される場所に適した耐久性の高いダクト材です。サビに強く、赤サビの発生が極めて少ないため、高湿度環境や屋外の設置に適しています。また高温耐性があるため、防火区間を貫通するダクトや、高温の排気ガスを扱うダクトに適しています。

ステンレス鋼板

ステンレス鋼板は、耐食性や衛生面に優れています。ステンレス鋼板は、表面が滑らかなため光沢感があり、内装を重視する場所に適しています。また細菌の繫殖を抑えることができ、高温多湿な環境にも適しているため、飲食店の厨房や食品加工場、医療施設などにも使用されます。

塩ビ被覆鋼板

塩ビ被覆鋼板は、薬品や酸に対する耐性に優れており、腐食性のある環境での使用に適しています。また高い耐湿性、防錆性があり薬品工場や研究所、病院や地下施設で使用されます。

ダクト工事の流れ

ダクト工事は建物の快適性に直結するため、専門的な知識や技術、豊富な経験が必要となります。また建築や消防にかかわる法規を遵守して作業を進めなければならないため、ダクト工事は下記の手順を踏んで行います。

ヒアリング

お客様のニーズやご要望を詳しくヒアリングし、ダクト工事をする建物の用途や空調の目的、予算を確認します。

現場調査・打ち合わせ

施工現場にお伺いし、建物の構造や設備を確認したうえで、具体的な施工方法や材料について、お客様と打ち合わせを行います。

設計・お見積り

ヒアリングや現地調査の結果をもとに、最適なダクトの設計を行います。必要な材料や工数を算出したのち、見積書を作成いたします。

ダクト工事開始・設置

ご契約後、施工計画に基づき、工事を行います。ダクト取り付け後、必要に応じて保温・断熱処理を施します。

試運転

ダクト工事完了後、試運転を行い風量や気流の調整を行います。問題がなければ工事終了です。

ダクトの施工方法

ダクト工事の現場では、設計図をもとに工場で製作されたダクトを使用して接続が行われます。ここではダクト工事時の接続方法を二種類説明します。

アングルフランジ工法

この工法は、強度と気密性が必要とされる際に使用されます。安全性が求められる排煙ダクトに適しており、接続部分がしっかりと固定されます。

コーナーボルト工法

この工法は、一般的な空調ダクトや見た目を重視する場所に使用されます。接続部の外観がスッキリとしており、材料費や作業時間を削減することができます。

ダクト工事を依頼する際の注意点

アフターサービスの充実度

ダクト工事は終了後も、メンテナンスなどが必要となります。施工後の不具合に迅速に対応できる業者を選ぶことが大切です。

工場や建物の特性や用途にに合わせた設計になっているか

施設の種類や用途に合わせた設計であるか、工場であれば製造プロセスにあった設計になっているのかをチェックしましょう。

メンテナンスがしやすい設計になっているか

将来的にメンテナンスが必要となります。そのためお客様自身でも点検がしやすい設計を依頼しましょう。

ダクトのメンテナンスのタイミング

ダクト工事終了後も、メンテナンスが必要となります。先ほど紹介した三種類の定期メンテナンスの時期について解説します。

排煙ダクト

排煙ダクトは一般的に1年ごとのメンテナンスが必要となります。飲食店や工場など、油煙や粉じんが多い環境では、より短い期間でメンテナンスが必要となります。

空調ダクト

空調ダクトは一般的に3年ごとのメンテナンスが必要です。これはビルや商業施設などを想定してた期間のため、高温多湿など特殊な環境であればより頻繫なメンテナンスが必要です。

換気ダクト

換気ダクトは7〜10年ごとにメンテナンスが必要です。ただし上の二種類と同様に、使用頻度や環境で異なります。

メンテナンスやダクト工事が必要な兆候

メンテナンスやダクト工事が必要となる原因を紹介します。下記の原因は相互関連しており、一つの問題がほかの問題を引き起こすこともあるため、しっかりと定期的なメンテナンスや点検を行い、早期に発見、対処をする必要があります。下記のような兆候がある際は、気軽にご相談ください。

機能低下

電気代が増加している場合、吸排気効率が低下している可能性があります。空調効率の低下が感じられる場合などはメンテナンスが必要です。油脂分や粉じんなどが原因となっている場合があり、カビの発生・増殖につながる可能性があります。

衛生問題

カビが発生し増殖したり、悪臭が発生していたり、煙が充満しやすくなったりしている場合はメンテナンスやダクト工事が必要になる可能性があります。細菌や煙により、健康被害が発生する場合があるため注意が必要です。

異音の発生

ダクト内部から普段と違う音が発生している場合は注意が必要です。ダクトが破損していたり、ファンベルトや軸受が劣化している可能性があります。機能が低下している可能性もあります。

目に見える汚れや損傷

目視できる汚れや損傷がある場合も、メンテナンスをおすすめします。機能低下、衛生問題、火災リスクの増加の原因になる恐れがあります。

汚れの蓄積

汚れが堆積している場合も機能低下、衛生問題、火災リスクの増加につながります。メンテナンスをおすすめします。

ダクトに関してよくあるお困りごと

換気効率が悪い

ダクトの接続部が外れていたり、破損していることが原因で、途中で空気が漏れている可能性があるため原因の特定と修理を行いご対応します。

ドレンのつまり

ドレンホースにゴミやほこりが詰まり、排水不良を起こしている場合やドレンホースの接続部が外れている場合があります。この場合は一度分解して、清掃・メンテナンスを行いご対応します。

ダクトの出口(排出孔)に不備

ダクトの出口に適切なカバーやフィルターがない場合、虫が侵入する可能性があります。ダクトのガラリ(出口のカバー)を適切なものに交換し、ご対応します。

ドレンの先の防虫フィルターのつまり

防虫フィルターが目詰まりすると、ドレンからの排水が滞り、水が逆流して水漏れを起こす場合があります。こちらも分解して清掃・メンテナンスでご対応します。

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