幹線工事とは?幹線工事の種類と施工の流れを紹介

電気は私たちの生活を快適にしてくれる欠かせないものです。そして電気工事と聞くと照明器具の取り付けやコンセントの配線など様々な工事を想像すると思います。その電気工事の一つに幹線工事があります。

幹線工事とは?

幹線工事は、電力会社から送られてくる電気を大型建物の電気設備に供給するための重要な工事です。主にビルや工場などの大型施設において、電気の大動脈となる配線を新たに敷設したり、改修したり、延伸したりする工事のことです。膨大な電力を必要とする大型施設において、安定かつ効率の良い電気供給を行うために重要な役割を担っています。

幹線工事の種類

幹線工事は、大型施設や商業ビル、工場などに電力を供給するための重要な工事であり、主に「幹線敷設工事」「幹線改修工事」「幹線延伸工事」の3つに分類されます。

幹線敷設工事とは

新たに建物を建築するときに、幹線敷設工事が行われます。この工事では、受変電設備から配電盤を経由して分電盤までの主要となる配線を設置します。配線の方法は主に2つあり、地中に埋設する方法と、架空で配線する架空配線方式があります。

幹線改修工事とは

既存の電気配線が老朽化して故障したり交換が必要になった場合に、幹線改修工事が行われます。また建物や施設などにおいて電気使用量の増加に伴い幹線を増やす必要がある場合などでも行われます。電気の需要量に適した幹線設備を敷くことで節電などのコスト削減も図ることができます。

幹線延伸工事とは

建物の増改築や用途変更に伴い、新たに幹線を敷設する必要がある場合に幹線延伸工事が行われます。この工事では、数十キロメートル及ぶ長さのケーブルが使用される事があります。架空配線にて数十キロメートルの長さの延伸工事をするとなると、高所で重さが数トンのケーブルを移動させることが必要があり、高度な技術と安全管理が求められます。

これらの幹線工事は、工場を始め多くの建物で特に重要であり、適切な幹線工事が行われていないと、建物全体の電力供給に影響を与える可能性があります。そのため、専門的な知識と技術を持つ業者による施工が必要不可欠です。

幹線工事の方法

幹線工事は主に架空配線方式と地中埋設方式の2つの方法によって行われます。それぞれの方法は異なる特性と利点を持っています。以下では両者の主な違いとそれぞれのメリット・デメリットを詳しく説明します。

架空配線方式

架空配線方式は、電柱などを利用して空中に電線を張る方法です。

メリット

施工が比較的容易で、コストが低く抑えられる点です。工事期間も短く、迅速に電力供給を開始できるため、特に都市部や新興住宅地での導入が一般的です。また架空配線は点検や修理が容易である利点も持っています。

デメリット

架空配線は自然災害や鳥害の影響を受けやすく、強風や大雨によって断線するリスクがあります。また架空の幹線ケーブルが視覚的な障害物となり、都市景観を損なうリスクもあります。

地中埋設方式

地中埋設方式は、地下にケーブルを埋め込む方法の事です。

メリット

地中に埋設することで視覚的な障害物が減り、美しい外観を保つことができます。また、地上に電線がないため、事故のリスクが低くなります。地中配線は天候の影響を受けることがなく、断線などのリスクを減らすことができます。

デメリット

地中埋設工事は一般的にコストが多くかかり、工事期間が長くなるというデメリットがあります。他にも、地中に埋設されたケーブルは目視確認ができないため、故障箇所の特定や修理に時間がかかることがあります。

このように、架空配線方式と地中埋設方式は共にメリット・デメリットを持ち合わせていることが分かります。両者の選択は地域の特性や環境によって異なります。例えば、都市部などでは景観やスペースを重視する傾向から地中埋設方式が好まれる事が考えられます。また、農村部や新興住宅地ではコスト面から架空配線方式が選ばれることがあります。このように、どのような条件を重視するかによって、架空配線方式か地中埋設方式を選択することが重要です。

幹線工事の流れと手順

幹線工事は、電力を建物や施設に供給するための重要な工事であり、以下のような流れと手順によって行われます。

計画と設計

工事を行う前に、地域の電力需要に関する分析などを行って必要な電力容量を計画します。また建物の用途や規模に応じたケーブルの種類、変圧器の配置などの設計を行います。

配線計画と図面作成

幹線設備工事の初期段階で、配線の計画と図面を作成します。また、配線経路や器具の取り付け位置を決定する作業などを行います。

配線工事

新築または改築する建物において、受変電設備から分電盤への主要な配線を行います。配線の方法としては地中埋設や架空配線など、建物の構造に応じた方法で施工を行います。

試運転と確認

工事完了後、幹線と建物内の配線が正しく接続されているかを確認します。これらは、導通試験や絶縁抵抗試験などを通して行われます。導通試験では回路の誤切断や断線が無いかを確認し、絶縁抵抗試験では、絶縁状態が適切かどうかを判断します。また各機器の動作テストや負荷試験を行い、配電盤や分電盤に接続された機器が正常に動作するかどうかをチェックします。

アフターメンテナンス

工事後も定期的な点検やメンテナンスが必要です。これにより、安全性や効率性を維持し、長期的な運用コストの削減に繋げることができます。

このように、幹線工事は計画から施工、試運転まで多岐にわたる手順があり、それぞれが重要な役割を果たしています。特に、安全性と効率性を確保するためには、高い専門知識と技術が求められます。

よくいただくご相談

工場などでエアコンを増設するため電気が必要になってどうにかならないかというご相談をよくいただきます。配電盤によって送られてきた電気をエアコンに送るためには分電盤が必要になるため、分電盤の設置を行いご対応します。また、電源工事の際も、使用する電線の太さや種類、配線ルートの観点から、安全かつ効率的な施工をご提供いたします。

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