幹線敷設工事の架空と埋設違いを徹底解説!

幹線工事とは

幹線工事とは、電気を供給するための主要な電力線(幹線)を敷設・設置する工事のことです。幹線は、変電所から建物や工場、公共施設などの電気設備へ電力を供給するための基幹的な役割を果たします。家庭やオフィスの各部屋へ電気を分配する配線が「分岐配線」であるのに対し、幹線は大きな電力を一括して供給する主要な電線です。電気インフラの基礎を担う工事であり、工場の電力供給や商業施設の大規模な電源設置には欠かせない工事です。

幹線敷設工事とは

幹線敷設工事とは、幹線を建物内や敷地内に設置する工事のことを指します。具体的には、電力供給のために太い電線を敷設し、必要な場所へ安全かつ確実に電力を届けるための工程です。幹線は、電線のサイズや電圧によって取り扱いが異なり、設置方法にも注意が必要です。工場や商業施設では、電力需要が大きいため、幹線工事が建物全体の電気供給の基盤となります。

幹線敷設工事では、設置場所や環境に応じて「架空配線」または「地中埋設」といった方法が選ばれます。これらの工事の種類について、以下で詳しく解説します。

幹線敷設工事の種類

幹線敷設工事には主に「架空配線」と「地中埋設」の2つの種類があります。それぞれの特徴やメリット・デメリットについて説明します。

架空配線

架空配線は、電線を地上に設置した電柱や鉄塔を利用して空中に敷設する方法です。街中や住宅地で見かける電柱や、郊外の送電線網がこの架空配線にあたります。送電の効率が高く、比較的簡単に設置できることから、現在でも広く採用されている方法です。

メリット

①工事コストが比較的安い

架空配線は、電柱や鉄塔を建設し、その上に電線を架けるだけで工事が完了するため、地中に電線を埋設する工事と比べて費用が大幅に抑えられます。特別な掘削作業や舗装工事が不要なことから、初期投資が少なくて済むのが大きな利点です。経済的な負担が軽いため、特に予算が限られている地域や公共工事では、多くの場合、架空配線が選ばれています。

②工事期間が短い

架空配線は、工事が地表面で完結するため、短い期間で設置が可能です。電柱や鉄塔を順次建設し、その後に電線を架けていく作業はシンプルかつ効率的で、他の工事と比べて施工の手間が少ないのが特徴です。急ぎで電力供給を確保したい場合や、工事期間を短縮したい現場では、この工法が大きなメリットとなります。

③メンテナンスが容易

架空配線は電線が地上から目視できるため、トラブルの発見が容易です。台風や落雷、外的要因によって問題が発生した場合でも、点検や修理がしやすいのが大きな利点です。電線が高所にあるため安全確保が必要ですが、設備や作業手順が確立されているため、迅速な対応が可能です。

デメリット

①景観への影響

電線や電柱が目立つことから、街の景観を損ねることがあります。特に都市部や観光地では、美観の問題が深刻視されるケースが少なくありません。景観の維持が重視される場所では、架空配線が不適切とされ、代わりに地中埋設が選ばれることが多くなっています。

②災害時のリスク

架空配線は自然災害の影響を受けやすく、台風や大雪、地震などで電線が切断されるリスクがあります。倒木や強風で電柱が倒壊したり、電線が断線したりすることがあり、停電が発生する原因になります。特に災害が頻発する地域では、この点がデメリットとして大きく取り上げられます。

地中埋設

地中埋設は、電線を地中に埋め込んで敷設する方法です。近年では、都市部の景観保護や災害対策の一環として、地中埋設の需要が高まっています。新興住宅地や再開発エリアなど、景観や安全性が重視される場所で特に採用される傾向にあります。

メリット

①景観が良い

地中埋設では、電線が地中に隠れるため、街の景観がすっきりと整います。電柱や電線が存在しないことで、都市全体が洗練された印象になり、美観を保つことができます。観光地や都市再開発においては、景観向上が重要な目的の一つとされており、地中埋設の導入が進められています。

②災害時の安全性が高い

電線が地中に埋設されているため、地震や台風、大雪といった自然災害の影響を受けにくく、停電のリスクが大幅に低減されます。電線が外部環境にさらされないことから、強風や倒木、飛来物などの外的要因によるトラブルも発生しにくいのが特徴です。特に災害対策が重視される地域では、地中埋設が積極的に導入されています。

デメリット

①工事コストが高い

地中埋設では、電線を敷設するために地面を掘削し、電線を埋め込む作業が必要です。また、工事後には地表面を元に戻すための舗装復旧作業も行う必要があります。これらの作業は複雑かつ時間がかかり、その分コストが高くなるのが避けられません。

②工事期間が長い

地中埋設工事は、掘削や電線の埋設、さらには舗装の復旧までを含むため、工事期間が長くなります。短期間での施工が求められる場合には適していません。特に交通量の多い場所や、人々の生活に影響する場所では、工期の長さがデメリットとなることがあります。

③メンテナンスが困難

地中埋設では、電線が地中に隠れているため、点検や修理が容易ではありません。トラブルが発生した際には、地面を掘り返す必要があり、作業が大がかりになるだけでなく、工期やコストも増大します。定期的な点検や修理においては、架空配線と比べて手間がかかる点が課題です。

架空と埋設どっちを選ぶ?

幹線敷設工事において、架空配線と地中埋設のどちらを選ぶかは、設置環境、予算、そして長期的な運用計画など、様々な要素を総合的に考慮して判断する必要があります。それぞれのメリットとデメリットを理解し、最適な方法を選択することが重要です。

架空配線が適しているケース

①コストを抑えたい場合

架空配線は地中埋設に比べて工事費用が比較的安価であるため、予算が限られているプロジェクトに適しています。特に、広範囲にわたる配線が必要な場合や、緊急に電力供給を確保する必要がある場合など、コストパフォーマンスを重視する際に有効な選択肢となります。

②工事期間を短縮したい場合

架空配線は地中埋設に比べて工期が短く、迅速に設置できるというメリットがあります。工場の操業開始やイベント開催など、早急に電力供給を必要とする場合に適しています。

③景観への影響が少ない場所

山間部や工場地帯、広大な農地など、景観への影響をあまり考慮する必要がない場所では、架空配線が選ばれるケースが多いです。

地中埋設が適しているケース

①美観を重視する場合

都市部や観光地、歴史的な街並みなど、景観を美しく保ちたい場所では地中埋設が最適です。電柱や電線が視界に入らないため、景観を損なうことなく、街並みに調和した電力供給を実現できます。

②災害リスクを低減したい場合:

地震や台風、豪雪など自然災害の多い地域では、電線を地中に埋設することで、倒木や強風による断線のリスクを大幅に低減できます。防災の観点から、ライフラインの安定供給を確保するために地中埋設が有効です。

③長期的な運用を考える場合:

地中埋設は初期費用が架空配線よりも高額になりますが、メンテナンス費用が少なく、長期的な運用コストを抑えることができます。また、電線の劣化や損傷のリスクも低いため、長期にわたって安定した電力供給を維持できるというメリットがあります。

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